物販の副業でかかる税金は?20万円ルールと経費・確定申告の基本を解説

物販で利益が出始めると、次に気になるのが税金です。いくらから申告が必要なのか、何が経費になるのか、会社に知られないかといった不安を抱えたまま進めている方は少なくありません。

特に物販には、他の副業にはない独特の落とし穴があります。仕入れた金額のすべてが経費になるわけではないという点です。ここを知らずに計算すると、想定より税額が増えることになります。

本記事では、申告が必要になる基準、事業所得と雑所得の違い、経費にできるものとできないもの、そして申告までに準備しておくことを整理しました。

確認したいポイント結論詳細
いくらから申告が必要?所得20万円超が一つの基準会社員の場合、給与以外の所得の合計が20万円を超えると確定申告が必要です。
20万円以下なら何もしなくていい?住民税の申告は別に必要所得税の申告が不要でも、住民税は自治体への申告が求められます。
仕入れ代は全額経費になる?売れた分だけが経費になる年末に残った在庫は経費にならず、翌年以降に繰り越されます。
事業所得と雑所得の違いは?帳簿の有無で区分が決まる記帳と保存があれば原則として事業所得、なければ原則として雑所得です。

この記事でわかること

  • 確定申告が必要になる基準と、住民税の扱いの違い
  • 事業所得と雑所得の区分が何で決まるか
  • 物販特有の経費の考え方と、在庫の扱い
  • 申告までに準備しておく4つのこと
  • 勤務先に知られる仕組みと、その対応
目次

物販の副業にかかる税金の全体像

細かい話に入る前に、何にどんな税金がかかるのかを押さえておきます。

利益に対して所得税と住民税がかかる

物販で得た利益には、所得税と住民税がかかります。所得税は国に納めるもので確定申告によって計算し、住民税は住んでいる自治体に納めるものです。

この2つは基準も手続きも別です。所得税の申告が不要な場合でも住民税の申告は必要になるという点は、後で詳しく説明します。

納める時期も違います。所得税は申告と同時期に納付し、住民税は翌年度に課税される仕組みです。手元に資金を残しておく必要があります。

売上が大きくなると消費税の話も出てきますが、基準期間の課税売上高が1,000万円を超えるまでは原則として納税義務がありません。副業の段階では、まず所得税と住民税を押さえておけば十分です。

ただし取引先から求められて課税事業者を選ぶケースもあります。個人相手の販売が中心であれば、当面は気にしなくて構いません。

輸入を行う場合は、通関の際に輸入消費税を支払います。これは仕入れの一部として原価に含めて考えてください。

課税されるのは売上ではなく所得

最初に理解しておきたいのがこれです。税金がかかるのは売上ではなく、そこから必要経費を差し引いた所得に対してです。

例えば年間の売上が100万円でも、仕入れや手数料などの経費が80万円かかっていれば、所得は20万円になります。

売上の数字だけを見て不安になる方が多いのですが、判断すべきは差し引いた後の金額です。まず自分の所得がいくらなのかを計算してみてください。

つまり経費を正しく計上できるかどうかで、納める税額は大きく変わります。そのために必要なのが記録です。

記録がなければ経費を証明できません。結果として、実際にはかかっていた費用を差し引けないまま課税されることになります。

会社員と専業で扱いが変わる

同じ物販でも、給与所得があるかどうかで申告の基準が変わります。会社員が副業として行う場合と、専業として行う場合では判断のラインが違います。

また、扶養に入っている方の場合はさらに別の基準が関わってきます。自分がどの立場に当たるのかを先に確認しておいてください。

立場が変われば適用される基準も変わります。転職や退職の予定がある場合は、その年の扱いも確認しておくと安心です。

副業の規模が大きくなって独立を考える段階になると、税務上の扱いも変わってきます。売上が伸びてきたら早めに専門家へ相談してください。

確定申告が必要になる基準

最も多く聞かれるのがこの部分です。基準を正確に理解しておきましょう。

所得20万円を超えたら所得税の申告が必要

会社員の場合の基準がこれです。国税庁の解説によると、給与を1か所から受けていて年末調整が済んでいる方でも、給与所得と退職所得以外の所得金額の合計が20万円を超える場合は確定申告が必要とされています(参照:国税庁「No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人」)。

繰り返しになりますが、この20万円は売上ではなく所得です。売上が50万円でも経費が35万円なら所得は15万円となり、この基準では申告不要になります。

ただし経費を証明できる記録がなければ、この計算は成り立ちません。20万円を下回っていることを示すためにも記録は必要です。

複数の会社から給与を受けている場合など、条件によって扱いが変わることもあります。自分が該当するかどうかは国税庁の解説で確認してください。

なお、医療費控除やふるさと納税で確定申告を行う場合は、20万円以下の所得も含めて申告する必要があります。この点は誤解が多いので注意してください。

20万円以下でも住民税の申告は必要

見落とされやすいのがここです。所得税の申告が不要な場合でも、住民税については申告が求められます。

所得税の20万円という基準は、あくまで所得税の話です。住民税にはこの基準がないため、利益が出ていれば金額にかかわらず自治体への申告が必要になります。

この違いを知らずに、20万円以下だから何もしなくてよいと考えてしまうケースが少なくありません。

手続きの方法は自治体によって異なります。お住まいの市区町村の窓口やホームページで確認してください。

所得税の確定申告を行った場合は、その情報が自治体にも共有されるため、住民税の申告は別途不要になるのが一般的です。

専業や扶養に入っている場合

給与所得がなく物販だけを行っている場合は、所得が基礎控除の額を超えると確定申告が必要になります。20万円という基準は適用されません。

配偶者の扶養に入っている方は、所得の金額によって扶養から外れる可能性があります。世帯全体の税負担が変わるため、事前に確認しておいてください。

税制上の扶養と、健康保険上の扶養では基準が異なります。どちらも確認しておくと後から慌てずに済みます。

申告しないとどうなるか

申告が必要なのに行わなかった場合、本来の税額に加えて加算税や延滞税が課される可能性があります。期限後に自分から申告するほうが、指摘を受けてから申告するより負担は軽くなります。

プラットフォームを通じた取引は記録が残ります。分からないだろうという判断は取らないでください。

申告の要否が分からない場合は、税務署に問い合わせれば教えてもらえます。相談は無料で、確定申告の時期以外でも受け付けています。

確定申告の期間は例年2月中旬から3月中旬です。この時期は窓口が混み合うため、疑問点は早めに解消しておくと安心です。

事業所得と雑所得の違い

申告する際、その所得をどちらで扱うかによって使える制度が変わります。

帳簿の有無で区分が決まる

判断の基準は明確です。国税庁の通達の考え方では、取引を記録した帳簿書類の記帳と保存があれば、収入金額が300万円以下であっても原則として事業所得に区分されるとされています。

逆に、帳簿書類の保存がない場合は原則として雑所得に区分されます。副業だから雑所得、という単純な話ではありません。

つまり、どちらで申告するかは自分で選ぶものではなく、実態と記録の有無で決まります。

ただし、収入金額があまりに少ない場合など、記帳していても事業所得と認められないケースもあります。個別の判断に迷う場合は税務署や税理士に確認してください。

帳簿書類の保存がない場合でも、収入金額が300万円を超えていて事業所得と認められる事実があれば、事業所得として扱われる余地はあります。

事業所得なら青色申告が使える

事業所得として申告できると、青色申告の特典を受けられます。国税庁によると、青色申告特別控除は所得金額から55万円、一定の要件を満たす場合は65万円、または10万円を控除する制度です(参照:国税庁「No.2072 青色申告特別控除」)。

55万円の控除を受けるには、複式簿記による記帳と、貸借対照表や損益計算書を添付して期限内に申告することが必要です。65万円にするには、これに加えて電子申告か電子帳簿保存の要件を満たす必要があります。

期限内の申告が要件に含まれている点は見落とされがちです。1日でも遅れると控除額が下がるため、日程には余裕を持ってください。

簡易な記帳の場合は10万円の控除になります。なお、この控除額と要件は税制改正で見直される予定があるため、申告の年に適用される内容を国税庁のサイトで確認してください。

青色申告には他にも特典があります。赤字を翌年以降に繰り越せる制度や、家族への給与を経費にできる制度などが用意されています。

物販は初年度に在庫と設備で支出が先行しやすい事業です。繰り越しが使えるかどうかは、2年目以降の税額に影響します。

雑所得だとできないこと

雑所得に区分されると、青色申告特別控除は使えず、赤字が出ても給与所得と相殺することができません。

物販は立ち上げ期に赤字になることもあります。事業として続けるつもりなら、最初から記帳する習慣をつけておくほうが有利です。

赤字を翌年に繰り越すこともできません。初期投資が大きい年ほど、この差は実感しやすくなります。

記帳といっても、最初は表計算ソフトで日付、内容、金額を並べるだけでも構いません。続けられる形から始めてください。

後から形式を整えることはできますが、記録そのものは後から作れません。まず残すことを優先してください。

経費にできるもの・できないもの

物販には特有の考え方があります。ここを誤ると税額が大きく変わります。

仕入れ代金は売れた分だけが経費になる

最も重要な点です。その年に仕入れた金額のすべてが経費になるわけではなく、売れた商品の仕入れ代だけが売上原価として経費になります。

例えば年間で100万円分を仕入れ、そのうち70万円分が売れた場合、経費になるのは70万円です。残りの30万円分は在庫として資産に計上され、翌年以降に売れた時点で経費になります。

仕入れた時点では経費にならないという点が、他の副業との大きな違いです。支払ったのに差し引けないという感覚に戸惑う方は少なくありません。

つまり、年末に大量の在庫を抱えていると、手元に現金がないのに所得だけが大きく出るという状態が起こります。これが物販特有の落とし穴です。

年末に向けて大量に仕入れる場合は、この点を計算に入れてください。納税資金を確保しないまま在庫に変えると、資金繰りが厳しくなります。

在庫の持ちすぎが資金繰りを圧迫する構造については、AmazonのOEMで「儲からない」は本当?失敗しないための5つの秘訣と成功事例でも整理しています。

手数料・送料・梱包資材

販売にかかる費用は経費になります。販売手数料、配送料、段ボールや緩衝材といった梱包資材、振込手数料が該当します。

これらは1件あたりでは小さくても、年間では大きな金額になります。明細をダウンロードして保存しておけば、集計の手間も減ります。

仕入れのために店舗へ出向いた際の交通費も、事業に必要であれば経費です。日付と行き先を記録しておいてください。

広告を出している場合は広告費も経費です。倉庫や配送代行を利用しているなら、その利用料も含まれます。

リサーチツールや会計ソフトの利用料、古物商許可の申請手数料も事業に必要な支出であれば経費として扱えます。

通信費や家賃の按分

自宅で作業している場合、事業に使っている割合を合理的に計算して、その分だけを経費に計上できます。これを家事按分といいます。

インターネット代、電気代、自宅の家賃などが対象になります。作業時間や使用している面積の割合など、説明できる根拠をもとに割合を決めてください。

割合の根拠を残しておくことが重要です。感覚で決めた数字では、後から説明を求められたときに困ります。

在庫を置いている部屋の面積や、作業に使っている時間をメモしておくだけでも根拠になります。

経費にできないもの

生活のための支出は経費になりません。私的に使うために買ったもの、家族との食事、事業と関係のない移動費などは対象外です。

また、自分自身への給与も経費にはなりません。所得税や住民税そのものも経費にはできません。

高額な備品は、購入した年に全額を経費にできない場合があります。金額によっては数年に分けて計上する扱いになります。

判断に迷う支出は、なぜ事業に必要なのかを説明できるかどうかで考えてください。説明できないものは計上しないほうが安全です。

経費を増やせば税額は下がりますが、それは支出しているということでもあります。節税のために不要なものを買うのは本末転倒です。

申告までにやっておく4つのこと

確定申告の時期に慌てないよう、日頃から準備しておく項目を挙げます。

開業届と青色申告承認申請

事業として継続的に行うなら、税務署への開業届の提出を検討します。青色申告を選ぶ場合は、承認申請書の提出期限に注意してください。

申請書は、青色申告をしようとする年の3月15日まで、その年の1月16日以後に事業を開始した場合は事業開始の日から2か月以内が提出期限とされています。期限を過ぎるとその年は適用を受けられません。

売上が立ってから慌てるのではなく、始める段階で済ませておくのが確実です。

開業届と青色申告承認申請は同時に提出できます。窓口でも郵送でも電子でも手続きが可能です。

記帳と帳簿の保存

事業所得として扱うためにも、記帳は欠かせません。いつ、何を、いくらで仕入れ、いくらで売ったのかを継続的に記録します。

帳簿書類には保存期間の定めがあります。青色申告か白色申告か、所得の種類によって年数が異なるため、国税庁の案内で確認してください。

保存が必要なのは帳簿だけではありません。請求書や納品書、領収書といった書類も対象になります。

会計ソフトを使えば、プラットフォームの明細を取り込んで自動で仕訳する機能もあります。取引件数が増えてきたら導入を検討する価値があります。

記帳をためると、思い出しながら入力することになり精度が落ちます。週に一度でも触る習慣をつけてください。

領収書と取引履歴の保管

経費を証明できなければ、経費として認められません。仕入れの領収書、手数料の明細、送料の記録は必ず残しておいてください。

後からまとめて集めようとすると必ず抜けが出ます。月に一度整理する習慣をつけておくと、申告時期の負担が大きく減ります。

ネットで購入した分は、購入履歴の画面を保存しておくだけでも記録になります。

プラットフォームによっては、明細のダウンロード期間に制限があります。定期的に取得して保存しておくと安心です。

年末の棚卸し

物販で必ず必要になるのがこの作業です。12月31日時点で売れ残っている在庫の数量と金額を確認します。

この金額が分からないと、売上原価が計算できず所得も確定しません。棚卸しを飛ばして申告することはできません。

数量だけでなく、いくらで仕入れたものかも必要です。同じ商品を違う価格で仕入れている場合は、評価方法を決めて統一します。

日頃から在庫を記録していれば、年末の作業は照合するだけで済みます。記録がないと、すべて数え直すことになります。

倉庫サービスに預けている分も在庫に含まれます。手元にないものを数え忘れないよう注意してください。

勤務先に知られたくない場合

会社員の方が最も気にする部分です。仕組みを正しく理解しておいてください。

住民税の徴収方法を選ぶ

副業が勤務先に伝わる経路として多いのが住民税です。副業の所得が加わることで住民税の額が増え、給与から天引きされる金額の変化で気づかれるという流れです。

確定申告の際に、住民税の徴収方法を自分で納付する形にすると、副業分の住民税は自宅に納付書が届きます。この方法で伝わる可能性を下げられる場合があります。

ただし自治体の運用によっては希望どおりにならないこともあります。確実を期すなら、事前に自治体の窓口に確認してください。

また、この方法で対応できるのは副業分の住民税だけです。他の経路から伝わる可能性がなくなるわけではありません。

就業規則の確認が先

そもそも副業が認められているかを確認するほうが先です。許可制や届出制になっている場合、無断で始めると後から問題になります。

厚生労働省のモデル就業規則でも勤務時間外の他社業務への従事は認められていますが、これは各社の規則を上書きするものではありません。自分の会社のルールを確認してください。

公務員のように法令で副業が制限されている職種もあります。思い込みで判断せず、根拠を確認してから始めてください。

確実に隠せる方法はない

正直に言えば、絶対に知られない方法は存在しません。隠すことを目的に申告を行わないという選択は、税務上のリスクを負うだけです。

副業が認められている会社であれば、正しく申告して堂々と続けるほうが精神的にも楽になります。認められていない場合は、始める前に相談するのが本筋です。

隠しながら続けると、規模を広げる判断もできなくなります。長期的に見れば、正面から進めるほうが選択肢は広がります。

長く続けられる形をどう作るかについては、Amazon OEMで資産形成をめざす!初心者向けに”続く仕組み”を作る方法で解説しています。

まとめ|記録を残すことがすべての土台になる

物販の副業では、利益に対して所得税と住民税がかかります。会社員の場合は給与以外の所得が20万円を超えると確定申告が必要で、20万円以下でも住民税の申告は必要です。

物販特有の注意点は在庫の扱いです。仕入れた金額のうち経費になるのは売れた分だけで、年末に残った在庫は翌年以降に繰り越されます。在庫を抱えたまま年を越すと、現金がないのに所得だけが出る状態になります。

必要なことは、日々の記録を残すことに集約されます。記帳があれば事業所得として扱いやすくなり、青色申告の控除も使えます。まずは表計算ソフトで、日付と内容と金額を並べるところから始めてみてください。

なお、税制は改正されます。本記事は一般的な考え方を整理したものであり、個別の判断については税務署または税理士にご相談ください。商品選びから利益設計までの基本はAmazon OEMとは?商品選定から仕入れまでのルートを物販未経験者向けに解説にまとめています。

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