並行輸入品とは?正規品との違い・違法にならない3つの条件と販売時の注意点

海外ブランドの商品を探していると、並行輸入品という表示を目にします。正規品より安いことが多く、偽物ではないかと不安になる方もいるはずです。

結論から言えば、並行輸入品は本物です。ただし流通の経路が正規とは異なるため、保証や付属品の扱いが違うことがあります。

本記事では、並行輸入品の定義と正規品との違いを整理したうえで、販売しても商標権侵害にならないための要件、税関での扱い、そして販売する側が注意すべき点までを解説します。

確認したいポイント結論詳細
並行輸入品とは何?代理店を通さず入った真正品正規のルート以外で輸入された、本物の商品を指します。
偽物とは違うの?偽物やコピー品とは別物製造元が正規に作った商品であり、流通経路が違うだけです。
販売しても違法にならない?3つの要件を満たせば侵害でない最高裁が示した基準を満たさない場合は商標権侵害になり得ます。
販売時の注意点は?表示と保証を正確に伝える正規品との違いを説明しないと、表示に関する問題になります。

この記事でわかること

  • 並行輸入品の定義と、偽物との違い
  • 正規輸入品との4つの相違点
  • 最高裁が示した商標権侵害にならない3要件
  • 税関での取り扱いと個人使用との違い
  • 並行輸入品を販売するときの注意点
目次

並行輸入品とは

まず言葉の意味をはっきりさせておきます。ここを誤解したまま扱うと、判断を誤ります。

正規代理店を通さずに輸入された真正品

ジェトロの解説によると、並行輸入とは、輸入販売に関する代理店契約を結んでいない第三者の輸入者や個人が、その商標権を持つ海外の製造者または輸出者から輸入することとされています(参照:ジェトロ「ブランド商品の並行輸入における留意点:日本」)。

ブランド品は通常、海外の製造者と日本の輸入者との間で総代理店契約が結ばれ、そのルートで販売されます。商標権は国ごとに効力が分かれる属地主義のため、日本に輸入する総代理店が日本での商標登録をするのが通例です。

この登録商標権者以外の第三者が、日本で商標登録されている外国製品を輸入して販売することが並行輸入にあたります。

属地主義とは、権利の効力がその国の範囲に限られるという考え方です。海外で権利を持っていても、日本では別に登録が必要になります。

この仕組みがあるために、海外で正規に買った商品でも日本での扱いが問題になります。国境をまたぐ取引特有の論点です。

つまり、商品そのものは正規のものです。違うのは流通の経路だけです。

日本語では並行という言葉が使われますが、正規のルートと並行して別のルートが存在するという意味だと考えると理解しやすくなります。

輸入するのは業者とは限りません。個人が自分で海外から仕入れて販売する場合も、並行輸入にあたります。

偽物やコピー品とは違う

最も誤解されやすい点です。並行輸入品は、製造元が正規に作った本物の商品であり、模倣品とはまったく性質が異なります。

偽物は権利者の許諾なく作られた商品で、輸入も販売も認められません。一方、並行輸入品は正規に作られた商品が別の経路で入ってきたものです。

この違いは重要です。並行輸入品を偽物と同じものとして扱うと、判断を誤ります。

購入者の中にも、並行輸入品を偽物だと思っている方がいます。販売する側が正しく説明できることが大切です。

ただし、並行輸入品と称して偽物が売られる例も実際にあります。買う側も売る側も、真贋の確認は欠かせません。

模倣品を販売すれば、知らなかった場合でも権利者から責任を問われる可能性があります。仕入れ先の確認は必須です。

偽物は輸入の段階で税関に差し止められ、廃棄されることもあります。仕入れ代金は戻りません。

なぜ価格差が生まれるのか

並行輸入品が安い理由は流通の構造にあります。総代理店を経由しないぶん、中間のコストや国内での価格設定の影響を受けにくくなるためです。

国によって販売価格が違うことも理由の一つです。海外で安く売られている商品を仕入れれば、日本の正規価格より低い価格で販売できます。

ブランド側が国ごとに価格戦略を分けていることも背景にあります。この内外価格差が並行輸入の成立する余地を生んでいます。

逆に言えば、価格差が縮まればこのビジネスは成り立ちません。市場環境に左右されやすい形だと理解しておいてください。

為替の影響も受けます。円安が進めば、この価格差は縮まります。

つまり価格差は固定ではありません。仕入れた時点で利益が出る計算でも、販売する頃には条件が変わっていることがあります。

関税や国際送料も原価に含めて計算してください。商品代だけで判断すると、実際の手残りとの差に驚くことになります。

正規輸入品との4つの違い

本物であっても、正規品とまったく同じではありません。違いを4つに整理します。

流通ルートが違う

最も本質的な違いです。正規輸入品は総代理店を経由し、並行輸入品はそれ以外の経路をたどります。

総代理店は、そのブランドの日本における販売を任されています。並行輸入業者は、海外の小売店や卸売業者から商品を仕入れて持ち込みます。

総代理店契約は独占的な内容であることが一般的です。だからこそ、並行輸入をめぐって権利者との間で争いになることがあります。

総代理店の側から見れば、独占的に販売する権利を得るために対価を払っています。並行輸入はその前提を崩す行為でもあります。

保証やアフターサービスが違う

購入者にとって最も影響が大きい部分です。日本の正規代理店による保証やアフターサービスを受けられない場合があります。

修理を依頼しようとしても、正規のルートで買った商品でなければ対応しないという方針の場合もあります。

高額な商品ほど、この差は購入の判断に影響します。時計や家電では特に確認が必要です。

メーカーによっては、シリアル番号から購入経路を判別して対応を分けている場合もあります。

並行輸入業者が独自に保証を付けていることもあります。購入前に、誰がどこまで保証するのかを確認してください。

保証がないぶん価格が安いという構造でもあります。安さの理由を理解したうえで選ぶことが大切です。

販売する側も、この構造を購入者に説明できる状態にしておいてください。

付属品や仕様が違うことがある

国ごとに仕様が異なる商品では、付属品、電源の規格、説明書の言語などが日本向けと違うことがあります。

家電製品では電圧の違いが問題になることもあります。日本国内で使えるかどうかを、購入前に確認する必要があります。

国内で使うために技術基準への適合が求められる製品もあります。該当する場合は、その確認も必要になります。

適合の表示がない製品を国内で販売すると、別の法令に触れる可能性もあります。商標だけの問題ではありません。

日本国内向けの製品にのみ付属するものが含まれていない場合もあります。

サイズの表記が海外基準になっていることもあります。衣類や靴では、この違いが返品の原因になりやすくなります。

実寸を記載しておけば、この行き違いは減らせます。表記だけに頼らない説明を心がけてください。

価格が違う

多くの場合、並行輸入品のほうが安く販売されています。この価格差が、購入する側にとっての最大の利点です。

ただし、常に安いとは限りません。為替や輸送費の状況によっては、正規品との差がほとんどなくなることもあります。

保証や付属品の違いを考えれば、価格差が小さいときは正規品を選ぶという判断も成り立ちます。

販売する側としても、価格差がなくなれば競争力を失います。為替の動きは常に確認しておいてください。

並行輸入は違法なのか

販売する側にとって最も重要な論点です。結論は、条件によって変わります。

形式的には商標権侵害になり得る

前提として、商標権者の許諾なく同じ商標が付いた商品を輸入する行為は、形式的には商標権の侵害にあたり得ます。

商標は誰の商品かを示す目印であり、その使用は権利者に専有されているためです。

だからこそ、どこまでが認められるのかという線引きが必要になりました。その基準を示したのが最高裁の判断です。

つまり、本物であればそれだけで自由に売れるという話ではありません。

この点は誤解されやすい部分です。本物かどうかと、販売してよいかどうかは別の問題として考えてください。

実際に、真正品であっても差止めや損害賠償が認められた裁判例があります。

本物だから問題ないという前提で大量に仕入れると、取り返しがつかなくなります。判断は慎重に行ってください。

最高裁が示した3つの要件

ただし、一定の場合には侵害にあたらないとされています。特許庁の解説によると、最高裁の平成15年2月27日判決は、真正商品の並行輸入に該当するための要件を次のように示しています(参照:特許庁「Q2. 商標権にかかる並行輸入」)。

この3つは順番に確認していく形になります。1つでも満たさなければ、侵害と判断され得ます。

1つめは、並行輸入商品に付された商標が、輸入元の外国における商標権者またはその許諾を受けた者により適法に付されたものであることです。

2つめは、輸入元の外国における商標権者と日本の商標権者とが同一人であるか、法律的もしくは経済的に同一人と同視し得る関係にあることにより、商標が日本の登録商標と同一の出所を表示するものであることです。これは出所表示機能が害されていないことを意味します。

3つめは、並行輸入された商品と日本の商標権者が登録商標を付した商品とが、その登録商標の保証する品質において実質的な差異がないと評価されることです。これは品質保証機能が害されていないことを意味します。

要件を満たさない場合は侵害になる

裏を返せば、この3つのいずれかを満たさない場合には、商標権侵害になり得るということです。

例えば、海外の権利者と日本の権利者が別の会社で資本関係もない場合、2つめの要件を満たしません。品質管理の体制が及んでいない商品も、3つめの要件で問題になります。

3つめの要件は、結果として品質が同じかどうかだけでなく、品質を担保する仕組みが及んでいるかどうかで判断される点が特徴です。

つまり、現物を比べて同じに見えるという理由だけでは足りません。管理の体制まで含めて評価されます。

本物だから大丈夫という判断は成り立ちません。扱う商品ごとに、権利関係を確認する必要があります。

個別の判断は専門的です。継続的に扱うのであれば、弁理士や弁護士に相談したうえで進めてください。

過去の裁判でも判断が分かれてきた領域です。自己判断で進めるにはリスクの大きい分野だと理解しておいてください。

扱うブランドを絞り、権利関係を確認できたものだけにするという運用が現実的です。

税関での取扱い

輸入する段階でも確認が入ります。ここで止まれば販売はできません。

差止めの対象になることがある

知的財産権を侵害する物品は、税関での輸入差止めの対象になります。権利者が申立てを行っている場合、該当する貨物は確認の対象となります。

真正商品の並行輸入と認められれば通関できますが、その判断は個別に行われます。

税関の実務でも、海外の権利者と日本の商標権者が同一人または同視できる関係にある場合は侵害としない扱いが取られてきました。

ただし、国内流通品と品質や出所において別のものである場合などは、この扱いから外れます。

止められた場合、商品は輸入できません。仕入れ代金と送料が損失になるうえ、手続きの対応にも時間を取られます。

数量が多いほど損失も大きくなります。初めて扱うブランドは、少量で試してから数を増やしてください。

通関で止まれば納期も守れません。販売の約束をしている場合は、その対応も必要になります。

個人使用と販売目的で扱いが違う

自分で使うために持ち込む場合と、販売するために輸入する場合では扱いが異なります。個人的な使用に供すると認められるものについては、扱いが緩やかになる場合があります。

ただし、個人使用と称して実際は転売するために輸入していれば、その主張は通りません。数量や頻度から実態が判断されます。

販売目的であることを前提に、正しい手続きで輸入してください。

虚偽の申告をすれば、それ自体が問題になります。正直に申告したうえで、通るかどうかを判断してください。

継続的に輸入するなら、通関の手続きに詳しい業者に相談する方法もあります。手数料はかかりますが、確実性は上がります。

輸入前に確認すべきこと

トラブルを避けるために、その商品の日本における商標権者が誰か、海外の権利者との関係はどうかを事前に確認してください。

商標の登録状況は、特許情報プラットフォームで無料で調べられます。日本での権利者を確認するだけでも判断材料が増えます。

日本の権利者が海外の製造元と同じ企業やそのグループであれば、要件を満たしやすくなります。逆に無関係の企業なら注意が必要です。

この確認を数分行うだけで、扱ってよいかどうかの見当がつきます。仕入れる前の習慣にしてください。

判断に迷う場合は、税関の相談窓口に問い合わせることもできます。輸入してから止まるより、事前に確認するほうが確実です。

権利者が輸入差止めの申立てを行っているブランドもあります。事前に情報を集めておくと、避けるべき商材が見えてきます。

並行輸入品を販売するときの注意点

仕入れて売る側として押さえておくべき4点を挙げます。

表示を正確に行う

商品ページには、並行輸入品であることを明記してください。正規品と誤認させる表示は、後からトラブルになります。

実際より優れているように見せる表示や、正規の保証があるかのような表現は避けてください。表示に関する法律の対象になり得ます。

故意でなく誤って表示した場合でも、問題になることがあります。表現は慎重に選んでください。

正規品と並行輸入品を同じページで扱う場合は、どちらなのかが一目で分かるようにしてください。

購入者が期待した内容と違えば、返品や低評価につながります。正確に書くことが、結局は自分を守ります。

正規品より安い理由を説明しておくと、購入者の不安も減ります。隠すより、書いたほうが売れます。

保証の有無を明記する

最もトラブルになりやすい部分です。日本の正規代理店による保証を受けられない可能性があることを、購入前に伝えてください。

自分で保証を付ける場合は、その範囲と期間を具体的に書きます。誰がどこまで対応するのかが曖昧だと、後から揉めます。

修理や部品の供給が受けられない商品もあります。この点も事前に確認しておいてください。

初期不良が発生したときの対応方針も決めておきます。返品を受けるのか交換するのかを事前に定めておけば、慌てずに済みます。

返品にかかる送料の負担も、あらかじめ決めて表示しておいてください。

真贋の確認を怠らない

並行輸入品として仕入れたつもりが、実際には模倣品だったという事態は起こり得ます。知らずに販売しても、権利者から責任を問われる可能性があります。

仕入れ先の素性を確認し、極端に安い商品には慎重になってください。相場から大きく外れた価格には理由があります。

信頼できる仕入れ先を確保できるかどうかが、この分野で続けられるかを分けます。安さだけで選ばないでください。

鑑定を専門とする業者に依頼するという方法もあります。高額な商品では、その費用をかける価値があります。

海外からの仕入れに伴うリスクの全体像は、「中国輸入はやめとけ」は本当?現実に潜むリスクと賢く稼ぐためのポイントを解説でも整理しています。

販売プラットフォームの規約を確認する

法律上は問題なくても、販売する場所の規約で並行輸入品の扱いが制限されている場合があります。

ブランドによっては出品自体が認められないこともあります。権利者からの申し立てで出品が削除される例もあります。

出品の際に、仕入れの証明を求められることもあります。請求書や納品書は必ず保管しておいてください。

仕入れの記録は、真贋を疑われたときの説明にも使えます。取引の経路を示せる状態にしておいてください。

規約に違反すればアカウントが制限されます。積み上げた評価を失うリスクを考えれば、事前の確認は欠かせません。

規約は変わることもあります。定期的に確認する習慣をつけておいてください。

複数の販路を持っておくと、一つで扱えなくなったときにも対応できます。依存しない体制を意識してください。

扱うブランドも複数持っておくと安全です。1つのブランドに依存すると、方針の変更で行き詰まります。

並行輸入と自社商品の違い

事業として続けることを考えたとき、この2つには構造的な差があります。

並行輸入は価格競争になりやすい

同じ商品を扱える人が他にもいる以上、差別化の手段は価格しかありません。扱う人が増えるほど利益は薄くなります。

権利者の方針が変わったり、為替が動いたりすれば、収益は一気に変わります。自分でコントロールできない要素が多い形です。

仕入れ先が閉じられれば、その時点で商売が止まります。1つのルートに依存する形はリスクが高くなります。

利益が残らない構造については、AmazonのOEMで「儲からない」は本当?失敗しないための5つの秘訣と成功事例でも整理しています。

自社商品なら価格の決定権を持てる

自分の商品として販売すれば、同じ商品ページに他の出品者が並ぶことがなくなります。権利関係の確認も、自分が権利者であれば問題になりません。

いきなり新規開発をする必要はありません。既製品にロゴやタグを付ける、仕様を変えるといった形からでも始められます。

自分が権利者であれば、他人の権利を気にせず売り続けられます。この安心感は事業を続けるうえで大きな違いになります。

市場での立ち位置の作り方はAmazonOEMは中国セラーが50%を占めている?日本人セラーが勝ち続けるための3つの戦略に、商品の選び方はAmazon OEMとは?商品選定から仕入れまでのルートを物販未経験者向けに解説にまとめています。

まとめ|本物であることと売ってよいことは別

並行輸入品とは、正規の代理店契約を結んでいない第三者が輸入した真正品のことです。偽物ではなく、流通の経路が違うだけの本物です。

ただし、本物であればそれだけで自由に販売できるわけではありません。最高裁が示した3つの要件を満たさなければ、商標権侵害になり得ます。扱う商品ごとに権利関係を確認してください。

販売する場合は、並行輸入品であることと保証の範囲を正確に伝えてください。表示が曖昧なままだとトラブルにつながります。

なお本記事は一般的な考え方を整理したものです。個別の判断については弁理士や弁護士にご相談ください。長く続く形をどう作るかについては、Amazon OEMで資産形成をめざす!初心者向けに”続く仕組み”を作る方法で解説しています。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

目次