FBA海外配送プログラムとは?設定手順と自動で有効になっている注意点

Amazonで販売していると、海外にも売れるという話を目にします。実際、国内のFBA在庫をそのまま使って海外に販売できる仕組みが用意されています。

注意すべきは、この設定が自分の知らないうちに有効になっている場合があるという点です。気づかないまま海外に売れていて、想定より利益が残らなかったという例もあります。

本記事では、FBA海外配送プログラムの仕組みを整理したうえで、設定の確認方法、メリットとデメリット、そしてグローバルセリングとの違いまでを解説します。

確認したいポイント結論詳細
どんな仕組み?国内のFBA在庫で海外に売れる海外から注文が入ると、Amazonが梱包から通関まで対応します。
費用はかかる?出品者への追加手数料はなし海外への配送料や関税は、購入者が負担する仕組みです。
設定は必要?有効になっている場合がある意図せず海外に販売している可能性があるため、まず確認してください。
注意点は?対象外の商品と返品の扱い輸出規制品などは除外され、返品の条件も国内とは異なります。

この記事でわかること

  • 国内のFBA在庫で海外に売れる仕組み
  • 設定が自動で有効になっている可能性と確認方法
  • メリットと、見落としやすいデメリット
  • 海外向け販売で確認すべき規制と関税
  • グローバルセリングとの違いと使い分け
目次

FBA海外配送プログラムとは

まず仕組みを確認します。

国内のFBA在庫で海外に売れる

このプログラムは、日本のフルフィルメントセンターに保管しているFBA在庫を、海外の購入者にも販売できるようにする仕組みです。

新たに在庫を用意する必要はありません。今すでに国内向けに預けている商品が、そのまま海外向けの販売対象になります。

海外の倉庫に送る手間も、現地でアカウントを開設する手続きも不要です。国内で完結する点が最大の特徴です。

在庫を分散させる必要もないため、国内向けの販売機会を減らすこともありません。

1つの在庫で国内と海外の両方の需要に対応できる形になります。資金の効率という点でも有利です。

回転が上がれば、同じ資金でより多くの取引ができるようになります。

在庫が動かずに滞留している商品ほど、海外の需要を試す価値があります。

対象となる国と地域は多数にわたります。ただし範囲は変更されることがあるため、最新の情報は公式の案内で確認してください(参照:Amazon出品サービス「FBA海外配送プログラム」)。

出品者に追加の手数料はかからない

費用の面が最も大きな利点です。海外への配送費用や関税などは購入者が負担する仕組みで、出品者に追加の手数料は発生しません。

つまり、国内で売れたときと同じ感覚で販売できます。海外配送のために価格を上げる必要もありません。

国内向けと同じ価格で出していれば、海外の購入者はそこに配送料と関税を上乗せして支払う形になります。

つまり出品者から見れば、国内で売れた場合と手残りは変わりません。

ただし返品が発生した場合の扱いは別です。この点は後ほど説明します。

また、相手国での関税負担が重ければ購入をためらわれることもあります。売れ行きには影響します。

参加のための費用もかかりません。設定を有効にするだけで利用できます。

広告を出す必要もありません。既存の商品ページが海外の購入者にも表示される形です。

通関もカスタマー対応もAmazonが行う

実務の負担が小さいのもこのプログラムの特徴です。海外から注文が入ると、Amazonが受注、梱包、通関手続きを経て購入者へ発送します。

配送に関する問い合わせや返品の処理も、日本語、英語、中国語でAmazonが対応します。出品者が外国語でやり取りする必要はありません。

海外販売で最も負担になる部分を任せられるという点が、この仕組みの価値です。

通関の書類作成や輸出の手続きを自分で行う必要はありません。

自力で越境ECに取り組む場合、この部分だけで相当な学習と作業が必要になります。

この負担を丸ごと引き受けてもらえる点が、他の越境の手段との決定的な違いです。

Amazon.co.jpの画面は海外の購入者が英語や中国語に切り替えて閲覧できるため、商品ページを海外向けに作り直す必要もありません。

つまり出品者がやることは、設定を有効にすることだけです。日々の作業は国内向けと変わりません。

自動的に有効になっている場合がある

この記事で最も伝えたい点です。

FBA利用者は原則として対象になっている

見落とされやすい事実です。2019年以降、FBAを利用している出品者はこのプログラムに自動的に登録される扱いになりました。

つまり、自分で申し込んだ覚えがなくても、海外配送が有効になっている可能性があります。

もともとは申し込みが必要な仕組みでしたが、途中で運用が変わった経緯があります。

以前に調べた情報のままだと、現在の状態と食い違う可能性があります。

自分で申し込んだかどうかではなく、今の設定がどうなっているかで判断してください。

設定を有効にすると、日本のフルフィルメントセンターにある対象商品が、自動的に海外配送の対象として表示される仕組みです。

自分で商品を1つずつ選ぶ作業も発生しません。便利な反面、把握しにくい仕組みでもあります。

メディア関連の商品や輸出が規制されている商品は、自動的に対象から外されます。

自分で判断しなくても除外される仕組みですが、範囲は把握しておいてください。

自分が扱う商品が対象なのか対象外なのかで、期待できる効果も変わります。

気づかないうちに海外に売れていることもある

この状態に気づかない出品者は少なくありません。売上は上がっているのに利益が想定より少ないという場合、配送先が海外だったというケースがあります。

海外向けの販売では、返品や問い合わせの扱いが国内と異なる場合があります。想定していない条件で取引が発生していると、後から対応に追われます。

意図せず販売していた商品が、相手国の規制に触れていたという事態も避けたいところです。

対象外の商品は自動で除外されますが、把握しておくに越したことはありません。

自分がどの設定になっているかを、まず把握してください。

売上の内訳を確認して、配送先が海外になっている注文がないかを見てみてください。

海外向けの注文が実際にあるなら、その分の利益も確認しておいてください。

件数が少なければ影響も小さいですが、割合が大きいなら設計を見直す必要があります。

まず現在の設定を確認する

確認は数分で終わります。セラーセントラルにログインし、設定からFBAの設定を開いて、海外配送の項目を見てください。

有効になっていれば海外への販売が行われている状態です。無効なら国内のみの販売になります。

確認しないまま数か月が過ぎているという方も少なくありません。今すぐ見てみてください。

確認は無料で、数分で終わります。やらない理由はありません。

この記事を読み終えたら、そのまま画面を開いて確認してみてください。

画面の表記や配置は更新されることがあります。見つからない場合は公式のヘルプで最新の手順を確認してください。

確認したうえで、自分の事業にとって有効か無効かを判断してください。

判断する前に、この記事の後半にあるメリットとデメリットも読んでおいてください。

設定の手順と選べる範囲

有効化も無効化も、自分で操作できます。

セラーセントラルから変更する

手順は次のとおりです。ログイン後、設定からFBAの設定を開き、海外配送の設定の項目で編集を選びます。

有効にする場合は、プログラムのポリシーを確認したうえで更新を実行します。反映されたかどうかは、設定の表示で確認できます。

ポリシーには対象外の商品や返品の条件も書かれています。目を通しておいてください。

後から知らなかったと言っても、規約に同意した扱いになります。

操作自体は難しくありません。数クリックで完了します。

反映には多少の時間がかかる場合があります。すぐに表示が変わらなくても慌てないでください。

設定の変更後は、実際の商品ページでも表示を確認しておくと確実です。

操作した日付を記録しておけば、後から状況を振り返るときにも役立ちます。

国と商品を選べる

全部か無しかという選択ではありません。販売したい国と、海外向けに販売する商品を選べる仕組みが用意されています。

特定の国だけを対象にする、一部の商品だけを対象外にするといった調整ができます。返品のリスクが高い商品を外すという使い方も可能です。

壊れやすい商品や、サイズ選びが難しい商品は除外するという判断もあります。

逆に、日本らしさが評価される商品を優先的に対象にするという使い方もできます。

国ごとに需要は違います。反応を見ながら対象を調整してください。

まずは扱いやすい商品から試して、様子を見ながら範囲を広げるという進め方が現実的です。

全商品を一度に対象にする必要はありません。段階的に判断してください。

設定は後から変更できます。まず試してみるという判断も取れます。

無効にすることもできる

海外向けの販売を望まない場合は、設定を無効にすれば国内のみの販売に戻せます。

在庫が限られていて国内の需要に集中したい場合や、返品の対応に不安がある場合は、この選択も合理的です。

国内の販売がまだ安定していない段階では、無理に広げる必要はありません。

まず国内で利益が出る形を作ってから、販路を広げる順番が安全です。

国内で売れない商品が海外で売れるとは限りません。基本は変わりません。

大切なのは、意図して選んでいる状態にしておくことです。知らないまま運用しているのが最も危険です。

一度無効にしても、後から有効に戻せます。試してみて合わなければ変更すれば済みます。

取り返しのつかない選択ではありません。まず状態を把握することが先です。

利用するメリット

活用する場合の利点を3つ挙げます。

追加の作業がほぼない

最大の利点です。設定を有効にするだけで、新たな在庫の準備も、海外の倉庫への納品も必要ありません。

通関の手続きも外国語でのやり取りも発生しないため、海外販売の知識がなくても始められます。

越境ECを自力で始めるとなると、サイトの構築から決済、配送まで用意する必要があります。その手間がまるごと省けます。

海外に販売してみたいが何から始めればよいか分からないという方には、最初の一歩として適しています。

失敗しても失うものがほとんどないという点も、試しやすい理由です。

本業を持ちながら物販に取り組んでいる方にとって、作業を増やさずに販路を広げられる点は大きな価値があります。

自分の作業時間を増やさずに売上の機会を増やせる施策は、そう多くありません。

作業量の壁に当たっている段階では、この点は特に価値があります。

件数を増やさずに売上の機会を増やせるという意味でも、検討する価値があります。

商品ページを作り直さなくてよい

越境ECでは通常、現地の言語で商品ページを用意する必要があります。このプログラムでは、Amazon.co.jpの既存のページがそのまま使われます。

翻訳の費用も、ページを別に管理する手間もかかりません。

複数の販路でページを管理すると、更新のたびに作業が増えます。この負担がない点も利点です。

商品を追加したときも、自動的に海外向けの対象になります。都度の設定は不要です。

運用の手間が増えないという点は、続けるうえで重要になります。

販路が広がる

国内では競合が多い商品でも、海外では状況が違うことがあります。日本製の商品や日本国内でしか手に入らない商品には、海外からの需要があります。

国内で動きが鈍い在庫が、海外で売れるという場合もあります。在庫を現金に戻す手段が1つ増えると考えることもできます。

どの国から注文が入るかも分かります。海外展開を考えるときの判断材料になります。

国内の競合が多いカテゴリほど、海外に目を向ける価値があります。

同じ商品でも、市場が変われば評価も変わります。

特定の国から継続的に注文が入るなら、その市場に本格的に取り組む価値があるということです。

費用をかけずに市場を試せる仕組みだと考えることもできます。

本格的な海外展開を検討する前の調査として使うという発想です。

市場での立ち位置の作り方については、AmazonOEMは中国セラーが50%を占めている?日本人セラーが勝ち続けるための3つの戦略で解説しています。

デメリットと注意点

利点だけではありません。4つの点を確認してください。

対象外になる商品がある

すべての商品が海外配送の対象になるわけではありません。一部のカテゴリの商品や、輸出が規制されている商品は除外されます。

自分の扱う商品が対象になっているかは、設定の画面や商品ごとの表示で確認できます。

対象となる範囲は変更されることがあります。定期的に確認しておいてください。

公式からの通知は見落とさないようにしてください。条件の変更はこうした形で告知されます。

通知を読まずに運用を続けると、気づかないうちに条件が変わっていたということが起こります。

対象外だからといって問題があるわけではありません。仕組み上、そうなっているというだけです。

自社商品を作る段階では、扱う商材が対象になるかを事前に確認しておくと安心です。

海外での販売も視野に入れるなら、商品を決める段階から確認しておいてください。

返品の扱いを確認する

国内の販売とは条件が異なる場合があります。海外からの返品では、対応の方法や費用の負担が国内と違うことがあります。

高額な商品や、サイズ感が購入の決め手になる商品では、返品の可能性も高くなります。扱う商品ごとに判断してください。

商品説明に実寸や素材を細かく書いておけば、認識のずれによる返品は減らせます。

画像で寸法を示しておくと、言語が違っても伝わります。

この工夫は国内向けの販売にもそのまま効きます。二重に価値があります。

条件は変更されることがあるため、最新の内容は公式の案内で確認してください。

返品率を織り込んで利益を計算しておけば、実際に発生しても慌てずに済みます。

相手国の関税や規制の環境が変わることがある

見落とされやすい点です。海外へ商品が届く際には、相手国の関税や輸入の規制が関わります。

近年はこの環境が大きく動いています。ジェトロによると、米国は少額貨物の免税制度を2025年8月末に廃止し、越境ECの事業者は通関手続きの複雑化や関税の負担に直面しているとされています(参照:ジェトロ「米国デミニミス制度廃止の衝撃(1)越境ECビジネスにもたらす変化」)。

このプログラムでは関税は購入者の負担ですが、負担が増えれば購入をためらわれる要因になります。売れ行きに影響する可能性は理解しておいてください。

制度は動き続けます。海外向けの販売に力を入れるなら、公的機関の発信を定期的に確認する習慣をつけてください。

利益の計算が変わる場合がある

国内向けと同じ条件で売れるとは限りません。配送にかかる日数が長くなれば、その分だけ問い合わせや評価への影響も出ます。

返品が発生した場合の損失も、国内より大きくなる可能性があります。返品率を織り込んだうえで利益を計算してください。

評価が下がればその後の販売にも影響します。件数が少ないうちは特に慎重に見てください。

国内と海外の売上と利益を分けて記録しておくと、判断の材料になります。

数か月分の記録が溜まれば、続けるべきかどうかも数字で判断できます。

利益が残る構造の作り方については、AmazonのOEMで「儲からない」は本当?失敗しないための5つの秘訣と成功事例で詳しく整理しています。

グローバルセリングとの違い

Amazonで海外に販売する方法はもう1つあります。

現地のAmazonに出品する方式

グローバルセリングは、米国や欧州といった各国のAmazonに、直接出品して販売する仕組みです。

現地の販売サイトに商品を登録し、現地のフルフィルメントセンターに在庫を納品します。現地の購入者から見れば、国内の商品と同じ扱いになります。

市場の規模も大きく、本格的に取り組めば売上の柱になり得ます。

現地での広告も使えるため、伸ばせる余地も大きくなります。

その代わり、現地の競合とも正面から戦うことになります。

日本国内での実績がそのまま通用するとは限りません。市場ごとに設計をやり直す必要があります。

配送も速く、価格も現地の相場に合わせられるため、本格的に海外市場を狙うならこちらになります。

現地の購入者にとっては通常の商品と同じ扱いになるため、売れやすさも変わります。

配送料が上乗せされないぶん、価格の競争力も出せます。

必要な準備の差

手軽さでは大きな差があります。グローバルセリングでは、現地のアカウント開設、商品ページの作成、在庫の輸送、税務の対応が必要になります。

売上金を受け取るための仕組みも用意する必要があります。国内の発送代行業者に依頼すれば、現地の倉庫まで納品してもらうこともできます。

外貨の売上を日本の口座で受け取れるサービスもあります。以前より障壁は下がっています。

それでも準備の量は明確に違います。片手間で始められるものではありません。

本業を持ちながら取り組むなら、まずFBA海外配送プログラムで様子を見るほうが現実的です。

つまり、FBA海外配送プログラムが設定だけで済むのに対し、グローバルセリングは事業としての準備が必要になります。

段階的に進める

順番としては、まずFBA海外配送プログラムで海外からの需要を確かめ、手応えがあればグローバルセリングへ進むという流れが現実的です。

どの国からどんな商品が買われているかは、実際に販売してみないと分かりません。設定だけで得られるこの情報は、次の判断の材料になります。

長く続く形の作り方については、Amazon OEMで資産形成をめざす!初心者向けに”続く仕組み”を作る方法で解説しています。

まとめ|まず自分の設定を確認する

FBA海外配送プログラムは、国内のFBA在庫をそのまま海外の購入者に販売できる仕組みです。出品者に追加の手数料はかからず、通関もカスタマー対応もAmazonが行います。

ただし、FBAを利用している出品者は自動的に登録される扱いになっているため、知らないうちに海外へ販売している可能性があります。

まずセラーセントラルで海外配送の設定を確認してください。有効なら意図して活用し、望まないなら無効にする。どちらにしても、知らないまま運用している状態は避けるべきです。

なお、対象国や条件、相手国の関税制度は変更されます。実際の運用にあたっては、公式の案内と公的機関の最新情報を確認してください。商品の選び方についてはAmazon OEMとは?商品選定から仕入れまでのルートを物販未経験者向けに解説で解説しています。

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