OEMとPBの違いとは?ODMとの関係や使い分け・自分のブランドを作る手順を解説

OEM、PB、ODM。商品づくりを調べていると必ず出てくる言葉ですが、説明を読んでも今ひとつ区別がつかないという人は多いはずです。実際、この3つは同じ商品を別の角度から呼んでいるだけ、という場面が少なくありません。
混乱の原因は、比べている軸がそもそも違うところにあります。OEMは製造の方法を指す言葉で、PBはブランドの区分を指す言葉です。並べて比べようとすると噛み合わないのは、当然といえば当然でした。
この記事では、それぞれの言葉が何を指しているのかを整理したうえで、企画は誰がするのか、ブランド名は誰のものかといった軸で比較します。あわせて、個人や小規模の事業者が自分のブランドを持つための手順にも触れていきます。
| 確認したいポイント | 結論 | 詳細 |
|---|---|---|
| OEMとPBの違いは? | OEMは製造手法、PBはブランド区分 | 同じ商品を「どう作ったか」で見るか「誰のブランドか」で見るかという視点の差。 |
| ODMとは何が違う? | ODMは企画や設計もメーカーが担う | OEMは委託した側が仕様を決めるのが基本。ODMは提案の段階から任せられる。 |
| PBはOEMで作られる? | 多くのPB商品はOEMで製造される | 小売業者が企画し、製造をメーカーに委託する形が一般的。両者は対立する概念ではない。 |
| 個人でもPBは作れる? | 呼び方は違うが仕組みは同じ | 小売業でなくてもOEMを使えば自社ブランド商品は作れる。D2Cもこの形にあたる。 |
この記事でわかること
- OEM・ODM・PBがそれぞれ何を指す言葉なのかという整理
- 3つを企画・製造・ブランド名・在庫責任という軸で比較した違い
- PB商品が近年伸びている背景と、小売業者にとっての利点
- 委託する側から見たメリットとデメリット、そして注意すべき点
- 個人や小規模の事業者が自分のブランド商品を作るための進め方
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OEMとPBの違いを一言で整理する
細かい定義に入る前に、結論から押さえておきましょう。この2つは対立する選択肢ではなく、そもそも見ている角度が違う言葉です。ここを理解すれば、あとの説明はすんなり入ってきます。
OEMは「作り方」、PBは「ブランドのあり方」
OEMは製造のビジネスモデルを指す言葉で、PBは商品の種類やブランドのあり方を示す言葉です。同じレイヤーで比較できる概念ではないと説明されることもあります。
たとえばコンビニの棚に並ぶ自社ブランドのお茶は、ブランドの区分で見ればPB商品です。そして、その製造を飲料メーカーに委託しているという点で見ればOEMになります。ひとつの商品が両方に当てはまるわけです。
「OEMにするかPBにするか」という問いの立て方自体が成立しません。正しくは「OEMという方法を使ってPB商品を作る」という関係になります。
誰の視点から見た言葉なのかが違う
もうひとつの整理として、視点の違いがあります。OEMやODMは受託する側から使われることが多い言葉で、PBは委託する側から使われる言葉という説明がされます。
製造を請け負う工場は「うちはOEMをやっています」と言い、小売業者は「うちのPB商品です」と言う。同じ取引を、立場の違う2者がそれぞれの言葉で呼んでいるだけという場面は珍しくありません。
「OEMは誰が製造したかを示し、PBは誰が企画したかを示す」と考えると区別しやすい、という整理の仕方もあります。判断に迷ったら、この見方に戻ると整理しやすくなります。
混同されやすい理由はどこにあるのか
この3語が混乱を招くのは、同じ取引を指しているのに、話し手の立場によって呼び名が変わるからです。工場の営業資料ではOEM、小売のプレスリリースではPB、コンサルの解説記事ではODMという具合に、同じ現象が違う名前で語られます。
さらに、近年は生産だけでなく企画設計まで担うOEMメーカーが増えており、OEMという言葉が示す業務範囲そのものが曖昧になってきました。名称だけを頼りに判断しようとすると、かえって実態を見誤ります。
実務で確認すべきなのは、言葉の分類ではありません。誰が仕様を決め、誰が試作を担い、誰が在庫を持ち、問題が起きたとき誰が責任を負うのか。この4つが決まっていれば、呼び名は何でも構わないというのが現場の感覚です。
PBと対になる言葉はNB
PBの対義語はOEMではなく、NB(ナショナルブランド)です。メーカーが自ら企画・製造し、自社ブランドとして小売店で販売する商品がNBにあたります。
世の中の商品は、大きくPB商品とNB商品に分けられます。有名メーカーの名前が入った商品はNB、スーパーやコンビニの名前が入った商品はPB。この対比で覚えておくと混乱しにくくなります。
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それぞれの言葉の意味を正確に押さえる
全体像がつかめたところで、ひとつずつ定義を確認していきます。実務では厳密に使い分けられていない場面もあるので、本来の意味と現場での使われ方の両方を知っておくと役立ちます。
OEMとは何を指すのか
OEMはOriginal Equipment Manufacturingの略で、他社で製造されたものを自社ブランドとして販売する仕組みを指します。委託者ブランド名製造、委託者商標による受託製造などと訳されることもあります。
基本の形は、発注元が製品の仕様や設計を決め、受託した工場がその指示どおりに製造するというものです。製品開発の責任は発注元にあり、工場は作る役割に徹します。
自動車、家電、化粧品、食品、アパレルなど、業界を問わず広く使われている手法です。街で見かける違うメーカーの車が同じデザインに見えることがあるのも、OEMで作られている場合があるためです。
ODMとは何が違うのか
ODMはOriginal Design Manufacturingの略で、製造だけでなく設計や企画までを受託側が担当する形態です。発注元はブランド名を付けて販売するだけ、という形も可能になります。
OEMは発注元が主導することが多いのに対し、ODMはメーカー側が主導する構図です。開発の人員を持たない企業でも商品を出せるため、市場投入までの速度を上げたい場面で選ばれます。
ただし現実には、OEMという言葉を使いながらメーカー側が企画まで担当することもあり、両者が明確に使い分けられていない場合もあります。大切なのは名称より、実際にどこまでを任せるかを契約で確定させることです。
PBとNBの関係
PBはPrivate Brandの略で、外部の製造業者に委託して生産された、販売者のブランドを冠する商品を指します。日本語では自主企画商品と呼ばれることもあります。
コンビニやスーパーが食品メーカーに製造を委託し、自社ブランドとして販売している商品が典型です。PBの製造形態は基本的にOEMと同じで、流通業者によるOEM商品に冠するブランドをPBと呼んでいるという関係になります。
つまりPBという言葉は、小売や流通の文脈で使われることが多い呼び方です。同じ仕組みでもメーカーや個人が使う場合は、単に自社ブランドやオリジナル商品と呼ばれることが一般的です。
EMSや受託製造という言い方との関係
製造委託の周辺には、ほかにも似た言葉があります。電子機器の分野で使われるEMSは、複数の企業から製造を請け負う受託生産サービスを指し、OEMより広い範囲の工程を担うことが多い形態です。
食品や化粧品の分野では、単に受託製造や委託製造と呼ばれることもあります。呼び方が違っても、外部の設備と技術を使って自社ブランドの商品を作るという本質は同じです。
3つの言葉を4つの軸で比較する
定義を並べただけでは実感が湧きにくいので、実務で問題になる軸に沿って比べてみましょう。どれを選ぶかを判断するときに見るべきなのは、この4点です。
企画と設計は誰が行うか
OEMでは、発注元が製品の仕様や設計を決め、受託側はその指示どおりに製造します。ODMでは受託側が設計や仕様の提案から行い、発注元は基本的に採用の判断をするという分担になります。
PBの場合は一定ではありません。小売業者が製品開発や仕様設計に深く関与することもあれば、製造側にほぼ任せる場合もあります。柔軟性が高い分、小売側の企画力が問われる形態ともいえます。
製造は誰が行うか
3つとも、製造そのものは外部の工場が担います。ここは共通しているので、区別の軸としては使えません。違いが出るのは、その工場にどこまでの裁量を渡すかという点です。
仕様書どおりに作らせるのか、提案を受けて選ぶのか、丸ごと任せるのか。自社にどれだけの知見と人員があるかで、適した形は変わってきます。
ブランド名は誰のものか
OEM、ODM、PBのいずれでも、店頭に並ぶ商品には発注元のブランド名が付きます。製造した工場の名前が表に出ることは基本的にありません。
買う人から見た商品の顔は、常に発注元のブランドです。だからこそ、品質に問題が起きたときに矢面に立つのも発注元になります。
コストの構造はどう変わるか
OEMやPBでは、設備投資が不要になる代わりに、1個あたりの単価は自社生産より高くなるのが一般的です。固定費を変動費に置き換える仕組みだと考えると分かりやすいでしょう。
数量が少ないうちは、この構造が有利に働きます。工場を持たずに商品を出せるからです。ただし販売数が大きく伸びてくると、自社生産のほうが単価で有利になる分岐点が現れます。
大手小売がPBで利益率を確保できているのは、圧倒的な販売数量を背景に単価を押し下げられるからです。小規模で同じ戦い方をしても勝てないのは、この構造の違いによります。
在庫と責任は誰が持つか
ここが実務では最も重い論点です。製造を委託しても、発注した商品の在庫を抱えるのは発注元であり、売れ残れば損失も発注元が負います。製品の安全性についての責任も同様です。
自社の生産ラインを持たないため、販売状況に合わせて発注量を調整できるという利点はあります。ただしそれは最小ロットの範囲内での話で、発注した分の在庫リスクが消えるわけではありません。
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なぜいまPB商品が増えているのか
小売の売り場を見渡すと、PB商品の存在感は年々増しています。この流れを知っておくと、自分が商品を作る側に回るときの立ち位置も見えてきます。
PB商品への評価も変わってきた
かつてPBは「安いが品質は落ちる」という見られ方をしていました。ところが近年は、価格と品質の両立を掲げる商品が増え、NBと同等かそれ以上の評価を得るPBも珍しくなくなっています。
内容量を増やす、原材料にこだわる、専用の売り場を作るといった取り組みが各社で進んでいます。単なる廉価版ではなく、その店に行く理由そのものとしてPBが位置づけられるようになりました。
物価上昇でNBからPBへのシフトが進んだ
矢野経済研究所の調査では、物価高騰による生活防衛意識の高まりから、NB商品の販売が伸び悩む一方でPB商品の売上が伸長する傾向が見られたと報告されています。
小売の現場データでも、生鮮と惣菜を除く分野でPBが数量、金額ともにNBを上回る伸びを示したという分析があります。値段の高いNB商品からPB商品へ買い替える動きが、実際に起きているわけです。
この流れは日本に限りません。米国でもPBの売上シェアが過去最高を更新したという報告があり、価格志向の高まりは各国で共通した現象になっています。
小売業者にとっての利点
PBは中間の流通コストや広告費を抑えられるため、同等の品質でも価格を下げやすく、利益率も確保しやすいという構造があります。他店では買えない商品になるので、差別化の手段にもなります。
大手の小売では、PB比率を経営目標として掲げる企業も出てきました。それだけ、自社ブランド商品が収益の柱として位置づけられているということです。
作る側から見るとどう映るか
この流れは、これから商品を作る個人や小規模事業者にとって追い風にも逆風にもなります。自社ブランド商品が受け入れられやすい環境になった一方で、大手のPBという強力な競合が増えたからです。
価格だけで大手のPBと戦うのは現実的ではありません。狙うべきは、大手が拾わない細かいニーズです。特定の悩みに絞る、使うシーンを限定する、といった方向に活路があります。
委託する側から見たメリットとデメリット
OEMもPBも、委託する側にとっての構造は基本的に同じです。良い面だけを見て始めると後で困るので、両面を確認しておきましょう。
設備を持たずに商品を出せる
最大の利点は、製造設備と専門人材への投資を省けることです。工場を建てて技術者を雇えば数千万円規模の投資が必要になりますが、OEMならその部分をまるごと外部に預けられます。
手元に残るのは、コンセプトづくり、デザイン、販売とマーケティングです。ここは資金力より発想と行動量が効く領域なので、大手と小規模の差が縮まりやすい部分でもあります。
自社にノウハウが蓄積しにくい
裏返しのデメリットもあります。製造を外部に任せ続けると、技術や品質管理の知見が社内に残らないという問題です。委託先を変えたいときに評価する目が育っていない、という状況にもなり得ます。
また、委託先の生産能力やトラブルに販売計画が左右される点もリスクです。1社だけに依存せず、代替先の候補を把握しておくことが備えになります。
品質のばらつきをどう抑えるか
製造を外部に預けるということは、品質の主導権も一部を預けるということです。ロットによって色味や仕上がりに差が出た場合、それを許容するかどうかの基準を持っていないと判断ができません。
サンプル承認の段階で、許容範囲と検品の基準を文書で残しておくことが有効です。そして不良が出た場合の負担をどちらが持つかまで決めておけば、後のやりとりが格段に楽になります。
最小ロットと在庫の重さ
工場には受けられる最低数量があります。テスト販売のつもりでも一定量は作らざるを得ず、売れなければその分が在庫として残ります。「安く作れた」より「早く売り切れた」を優先する判断が、資金を守ります。
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個人や小規模でも自分のブランドは作れる
PBという言葉は大手小売の話に聞こえますが、仕組み自体は規模を問いません。個人が同じ方法で自分のブランド商品を持つことは十分に可能です。
個人が使うならOEMという呼び方が基本
小売業者でない以上、自分の商品をPBと呼ぶ場面はあまりありません。実務ではOEMメーカーに委託して自社ブランド商品を作るという言い方になります。やっていることは大手のPBと同じです。
問い合わせをするときも、PBを作りたいと言うより、この仕様でOEM製造をお願いしたいと伝えるほうが話が通ります。言葉の選び方ひとつで、相手の理解の速さが変わります。
D2Cという形との関係
近年広がっているD2Cも、構造としてはこの延長線上にあります。自社で企画した商品をOEMで作り、卸を通さず直接消費者に届ける形です。市場の変化に素早く対応したいという需要が、OEMの利用を後押ししています。
小売の棚を取らなくても商品を売れる環境が整ったことで、個人が自分のブランドを持つ現実味は以前よりずっと高くなりました。
最初の1商品をどう決めるか
始めるうえで最も重要なのは、誰のどんな悩みに応える商品なのかを一文で言えるようにすることです。ここが曖昧なままメーカーに相談しても、提案の精度は上がりません。
既存商品のレビューにある不満は、そのまま入り込む隙間になります。商品選びの手順はAmazon OEMとは?商品選定から仕入れまでのルートを物販未経験者向けに解説で具体的に説明しています。
自社ブランドを持つと何が変わるか
他社の商品を仕入れて売る形では、同じ商品を扱うライバルと価格で比べられ続けます。自分のブランド商品なら、その商品を売れるのは自分だけという状態を作れます。ここが最も大きな違いです。
レビューが積み上がれば、それ自体が他社には真似できない資産になります。改善を重ねるほど商品が強くなっていくので、時間をかけた分が成果として残りやすい形といえます。
一方で、売れなければ在庫は自分のものです。仕入れ販売より腰を据えた取り組みが必要になるという点は、始める前に理解しておきましょう。
取引で気をつけたい法律面のこと
規模が大きくなるほど、委託する側と受託する側の力関係が問題になります。これから発注する立場になるなら、知らずに加害側に回らないための知識が必要です。
PB取引では下請法違反が起きやすい
公正取引委員会は、一部のPB商品の取引について、返品や受領拒否といった優越的地位の濫用または下請法違反となり得る事例が見受けられると指摘しています。下請法違反事件のなかでPB商品の取引が一定の割合を占めているとも述べられています。
同委員会は2014年に、食品分野のPB商品の取引に関する実態調査を実施し、報告書を公表しました。発注する側になるなら、こうした指摘があること自体を知っておく意味があります。
調査の内容は公正取引委員会「食品分野におけるプライベート・ブランド商品の取引に関する実態調査報告書」で確認できます。関連する調査は公正取引委員会「実態調査報告書」にまとまっています。
表示や広告のルールは発注元が負う
商品に自社ブランド名を冠する以上、表示の内容や広告の表現について責任を負うのは発注元です。食品なら表示のルール、化粧品なら薬機法、繊維製品なら品質表示と、扱う商材ごとに適用される法律が変わります。
工場が慣れているから任せておけばよい、という姿勢は危険です。最終的に行政から指摘を受けるのは、ブランド名を出している側になります。委託先の知見は借りつつ、内容の確認は自分で行う体制を作ってください。
契約で決めておきたい項目
トラブルの多くは、決めていなかったことから生まれます。発注数量と納期、単価と支払い条件、不良品が出た場合の負担、金型や資材の所有権、そして守秘義務。この5点は最低限、書面にしておきましょう。
特に金型や版の所有権は後で揉めやすい部分です。委託先を変えたいときに型を引き取れるかどうかで、切り替えのコストがまったく変わってきます。
委託先を横並びで比べるときの視点は、【失敗しない】中国輸入代行のおすすめ5社徹底比較!選び方から料金まで解説で扱っている比較軸も参考になります。
まとめ|言葉の整理より、どこまで任せるかを決めること
OEMは製造の方法を指し、PBはブランドの区分を指す言葉です。多くのPB商品はOEMで作られているので、両者は対立するものではなく重なり合う関係にあります。
ODMとの違いは、企画や設計を誰が担うかという点です。実務では呼び方が厳密でない場面もあるため、名称よりも「どこまで任せるか」を契約で確定させることのほうが重要になります。
そして、自分のブランドを持つという意味では、大手の小売がやっていることと個人がやることに構造上の違いはありません。設備を持たなくても、企画と販売を自分で担えば商品は形になります。
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