商標登録の費用はいくら?出願料と登録料の内訳、区分数別の総額を解説

自分のブランド名を守るために商標登録を考えたとき、最初に気になるのが費用です。数十万円かかると聞いて躊躇している方も多いかもしれません。
実際には、自分で手続きすれば1区分で5万円を下回ります。金額を左右するのは区分の数と、専門家に依頼するかどうかの2点です。
本記事では、特許庁に納める費用の内訳を計算式とともに整理したうえで、区分数別の総額、一括と分納の違い、弁理士に依頼する場合の考え方、費用を抑える方法までを解説します。
| 確認したいポイント | 結論 | 詳細 |
|---|---|---|
| 自分で出願するといくら? | 1区分で約44,900円 | 出願料12,000円と設定登録料32,900円を合計した金額です。 |
| 費用は何で決まる? | 区分の数で決まる | 出願料も登録料も区分ごとに加算されるため、絞るほど安くなります。 |
| 一括と分納どちらが得? | 10年一括のほうが安い | 5年ごとの分納は合計すると割高になります。 |
| 弁理士に頼むといくら? | 事務所ごとに自由設定 | 報酬額表は廃止されており、複数から見積もりを取る必要があります。 |
この記事でわかること
- 出願料と設定登録料の計算式
- 区分数ごとの総額の目安
- 10年一括と5年分納の金額差
- 弁理士に依頼する場合の費用の考え方
- 費用を抑えるための4つのポイント
商標登録の費用は2段階でかかる
まず全体の構造を押さえておきます。ここが分かれば、見積もりを見たときに何の費用かを判断できます。
出願のときと登録のときに分かれる
商標の手続きは大きく2つの段階に分かれます。申請するときに納める出願料と、審査に通ってから納める設定登録料です。
出願料は申請の時点で必要になります。審査の結果、登録できないと判断された場合でも返還されません。
この点は他の許認可の手数料と同じです。申請したこと自体に対する費用だと理解してください。
だからこそ、通る見込みがあるかどうかを事前に確認する価値があります。無駄な出願を減らすことが節約になります。
設定登録料は、登録すべき旨の査定などの謄本が送達された日の翌日から30日以内に納めます。ここまで進んで初めて商標権が発生します。
審査に通らなければ設定登録料は発生しません。その意味では、まず出願料だけを用意すれば手続きは始められます。
つまり、出願した時点では総額の一部しか払っていません。予算を立てるときは両方を合算してください。
出願から登録までは半年から1年程度かかります。その間に登録料の資金を用意しておけばよいという見方もできます。
つまり、最初に用意する必要があるのは出願料だけです。まとまった金額がなくても手続きは始められます。
費用は区分数で決まる
金額を左右する最大の要素がこれです。商標は、どんな商品やサービスに使うかを区分という単位で指定して登録します。
出願料も設定登録料も、この区分の数に応じて加算されます。1区分と3区分では、費用が大きく変わります。
商標そのものの文字数やデザインの複雑さは、費用に影響しません。金額を決めるのは区分の数だけです。
つまり費用を抑えたいなら、必要な区分を見極めることが最も効果的です。この点は後ほど詳しく説明します。
区分は全部で45に分かれており、そのうち商品に関するものと役務に関するものがあります。自分の事業がどこに当たるかを確認してください。
区分の中でも、どの商品や役務を指定するかを具体的に記載します。ここが広すぎると審査で指摘を受けることもあります。
特許庁への費用と専門家への報酬は別
見積もりを比較するときに混同しやすい部分です。特許庁に納める法定の費用と、弁理士や事務所に支払う報酬は別の性質のものです。
法定の費用は誰が手続きしても同じ金額です。一方、報酬は事務所ごとに自由に設定されています。
見積もりを取ったら、この2つが分けて記載されているかを確認してください。合算だけで示されていると、比較ができません。
法定の費用は自分で手続きすれば必ず発生し、避けられません。逆に報酬は、自分でやれば発生しない費用です。
総額だけを見て高いと判断する前に、どちらの費用がどれだけ含まれているかを分けて考えてください。
特許庁に納める費用の内訳
ここからは具体的な金額です。計算式さえ覚えれば、自分のケースで総額を出せます。
出願料は3,400円+8,600円×区分数
申請時に必要な金額です。特許庁の料金表によると、商標登録出願の出願料は3,400円に、区分の数に8,600円を掛けた金額を加えたものとされています(参照:特許庁「産業財産権関係料金一覧」)。
1区分なら3,400円+8,600円で12,000円です。2区分なら20,600円、3区分なら29,200円という計算になります。
3,400円の部分は区分数にかかわらず一定です。増える分は1区分あたり8,600円だけと考えると分かりやすくなります。
なお、審査の過程で区分を追加する補正を行う場合、増えた区分数に応じて1区分あたり8,600円の追加が必要になります。
この出願料は、審査の結果が登録でも拒絶でも返ってきません。事前の確認が費用の節約に直結する理由はここにあります。
設定登録料は32,900円×区分数
審査に通ってから納める金額です。10年分を一括で納める場合、区分の数に32,900円を掛けた金額になります。
1区分なら32,900円、2区分なら65,800円、3区分なら98,700円です。区分が増えるほど負担は大きくなります。
出願料と比べると、登録料のほうが金額は大きくなります。総額の7割前後を占める部分です。
この金額を納めることで、商標権が10年間有効になります。
納付の期限は、査定などの謄本が送達された日の翌日から30日以内です。ここを過ぎると出願そのものが無効になるため注意してください。
区分数別に見た総額の目安
出願料と設定登録料を合計すると、自分で手続きした場合の総額が出ます。
1区分なら12,000円と32,900円で、合計44,900円です。2区分なら20,600円と65,800円で86,400円、3区分なら29,200円と98,700円で127,900円になります。
つまり1区分であれば5万円を下回ります。数十万円かかるという印象は、専門家への報酬を含んだ金額を見ているためです。
10年間有効な権利にかかる費用と考えれば、年あたり5,000円程度です。ブランドを守る費用としては大きくありません。
商品を1つ仕入れる金額と比べてみてください。判断の基準が変わるはずです。
自分のケースの正確な金額は、特許庁が公開している手続料金の計算システムでも確認できます。
見積もりを比較するときも、まずこの法定費用がいくらになるかを自分で計算しておいてください。報酬の水準を判断する基準になります。
提示された総額から法定費用を引けば、その事務所の報酬が分かります。この計算をするだけで比較の精度は上がります。
書面で提出すると電子化手数料がかかる
見落としやすい費用です。書面で手続きした場合、電子化手数料として書類ごとに2,400円と、1枚あたり800円が必要になります。
オンラインで出願すればこの費用は発生しません。書面での手続きは、この点でも不利になります。
また、書面での出願料は特許印紙での納付が必要で、収入印紙では認められません。この違いにも注意してください。
特許印紙は郵便局などで購入できます。ただしオンラインで手続きすれば、そもそも用意する必要がありません。
貼り付けの位置や記載の方法にも決まりがあります。慣れていないなら、この点でもオンラインのほうが確実です。
10年一括と5年分納の違い
登録料には2つの納め方があります。どちらを選ぶかで総額が変わります。
分納は割高になる
工業所有権情報・研修館の解説によると、登録料は10年分を一括で納める方法のほかに、5年ごとに前期と後期に分けて納付する方法があり、分納にすると料金が割高になります(参照:INPIT「商標の登録料は10年間分を一括して納付しなければならないのですか」)。
分納の場合、設定登録料は前期と後期それぞれで区分の数に17,200円を掛けた金額になります。10年分を合計すると34,400円となり、一括の32,900円より高くなります。
目先の支出は抑えられますが、総額では損をする仕組みです。この点を理解したうえで選んでください。
1区分では1,500円の差ですが、区分数が増えれば差も広がります。
後期分は存続期間が満了する5年前までに納めます。納付を忘れると権利が消滅するため、管理の手間も増えます。
5年後の予定を覚えておく必要があります。カレンダーに登録するなどの対策を取ってください。
更新登録料は43,600円×区分数
商標権は10年ごとに更新できます。更新登録料は10年一括で区分の数に43,600円を掛けた金額です。
分納にする場合は、前期と後期それぞれで区分の数に22,800円を掛けた金額になります。こちらも合計すると一括より高くなります。
更新登録料は設定登録料より高く設定されています。長く使うほど、その分の費用も見込んでおく必要があります。
更新の申請は、存続期間が満了する6か月前から満了日までの間に行います。期限を過ぎると権利が消滅するため、管理が必要です。
10年後の話ですが、事業を続けるなら必ず訪れる支出です。最初に費用を見積もる段階で頭に入れておいてください。
どちらを選ぶか
総額で見れば一括が有利です。ただし、事業が続くかどうか分からない段階では、初期の支出を抑える分納にも意味があります。
5年で事業をやめる可能性があるなら、後期分を納めずに済む分納のほうが結果的に安く済みます。
区分数が多い場合は、初期の支出を抑える効果も大きくなります。資金の状況に応じて判断してください。
長く使い続ける前提のブランド名であれば、一括を選んでください。
数千円から数万円の差であれば、管理の手間が減る一括のほうが総合的には楽になります。
迷う場合は一括を選んでおくのが無難です。納付忘れによる権利の消滅は、金額の差より大きな損失になります。
弁理士に依頼する場合の費用
専門家に任せる場合、法定の費用に加えて報酬が発生します。
報酬額表は廃止されている
注意が必要なのがここです。弁理士の報酬額表は2013年に廃止されており、現在は各事務所が自由に設定しています。
つまり相場と呼べる固定の金額はありません。事務所によって、また依頼する範囲によって大きく変わります。
他社の記事に載っている相場も、あくまで参考値です。自分のケースで見積もりを取ることが唯一の確認方法になります。
料金だけでなく、対応の速さや説明の丁寧さも比較してください。長く付き合う相手になる可能性があります。
必ず複数から見積もりを取り、何が含まれているかを確認してください。調査だけなのか、出願手続きまでなのか、拒絶理由への対応まで含むのかで金額は変わります。
登録できた場合の成功報酬が別途かかる形もあります。総額でいくらになるのかを、最初に確認しておいてください。
自分で出願する場合との差
自分で手続きすれば、かかるのは法定の費用だけです。1区分なら44,900円で完了します。
専門家に依頼すれば、これに報酬が加わります。総額は数倍になることもありますが、そのぶん区分の選定や書類の作成を任せられます。
拒絶理由の通知が来た場合の対応も任せられます。この部分は知識がないと自力での対応が難しくなります。
オンラインで書類作成を支援するサービスもあり、その中間の価格帯に位置します。
どこまで自分でやるかは、時間とお金のどちらを優先するかで決まります。手続き自体は個人でも十分に可能です。
1件目を自分でやってみて、難しいと感じたら2件目から依頼するという進め方もあります。
依頼する価値があるケース
自分で出願しても構いませんが、次の場合は専門家に相談する価値があります。
1つめは、似た商標が既に登録されていて、通るかどうかの判断が難しい場合です。2つめは、区分の選び方に迷っている場合です。
3つめは、事業の根幹となる重要なブランド名の場合です。取れなかったときの損失が大きいなら、確実性にお金を払う判断もあります。
逆に、まず1つ試しに取ってみたいという段階であれば、自分で手続きして経験を積むという選択も合理的です。
ブランドの世界観をどう作るかについては、無印良品に学ぶOEMブランド戦略|世界で選ばれる理由と成功法則で解説しています。
費用を抑える4つのポイント
同じ商標を取るにも、進め方で金額は変わります。
区分を絞る
最も効果が大きい方法です。出願料も登録料も区分ごとに加算されるため、1区分減らすだけで4万円以上変わります。
将来使うかもしれないという理由で区分を増やすと、費用だけが膨らみます。今の事業で実際に使う範囲に絞ってください。
使っていない区分は、後から取り消しを請求される可能性もあります。押さえておけば安心という考え方は成り立ちません。
実際に使う予定があるかどうかを、区分ごとに確認してください。迷う区分は外しても構いません。
必要になった時点で追加の出願をすることもできます。最初からすべてを押さえる必要はありません。
ただし、その間に他社が同じ区分で登録する可能性はあります。事業の中心となる区分だけは最初に押さえておいてください。
オンラインで出願する
書面で手続きすると電子化手数料がかかります。オンラインで出願すればこの費用は発生しません。
手続きの進行も確認しやすくなります。特別な理由がなければオンラインを選んでください。
オンライン出願には事前の準備が必要な場合があります。手続きの方法は特許庁の案内で確認してください。
準備には多少の手間がかかりますが、一度整えれば次回以降も使えます。継続して出願する予定があるなら価値があります。
事前の調査を自分で行う
出願する前に、同じような商標が既に登録されていないかを調べておきます。特許情報プラットフォームを使えば、誰でも無料で検索できます。
似た商標が既にあれば、審査で拒絶される可能性が高くなります。出願料は返還されないため、事前の確認は費用の節約に直結します。
登録の有無だけでなく、審査の経過も確認できます。似たケースがどう扱われたかを見れば、判断の材料が増えます。
候補を複数用意したうえで、まとめて調べておくと効率的です。1つに絞ってから調べると、使えなかったときにやり直しになります。
検索エンジンで調べるだけでは登録済みの商標を見落とします。データベースで確認してください。
同じ読み方や似た表記まで含めて調べておくと安全です。完全一致でなくても、類似と判断されれば登録できません。
減免制度を確認する
一定の要件を満たす個人や中小企業を対象に、料金の軽減措置が設けられている場合があります。
対象や条件は制度によって異なります。自分が該当するかどうかを、特許庁の案内で確認してください。
該当すれば負担は大きく下がります。申請の前に一度調べておく価値があります。
要件を満たすことを示す書類が必要になる場合もあります。手続きの流れも含めて確認してください。
制度の内容や対象は見直されることがあります。出願する時点での最新の案内を確認してください。
物販で商標を取るときの考え方
最後に、自社商品を扱う場合に押さえておきたい点を挙げます。
どの区分を選ぶか
扱う商品によって選ぶ区分は変わります。商品そのものに使うのか、販売という役務に使うのかで該当する区分が異なる点に注意してください。
例えば衣類を作って売る場合と、他社の商品を集めて小売する場合では、押さえるべき区分が違います。
複数のカテゴリの商品を扱う予定があるなら、その分だけ区分も増えます。費用と照らして優先順位をつけてください。
まず主力の1区分だけを押さえ、売上が伸びてから追加するという段階の分け方も現実的です。
自社商品を作って売る形であれば、その商品が属する区分を押さえるのが基本です。
自分が何を提供しているのかを整理してから区分を選んでください。市場と商品の決め方については、Amazon OEMとは?商品選定から仕入れまでのルートを物販未経験者向けに解説で解説しています。
出願から登録までの期間
費用と同じくらい重要なのが時間です。出願してから登録されるまでには、半年から1年程度かかるのが一般的です。
販売を始めてから慌てて出願しても、その間は模倣を止められません。商品開発と並行して進めておいてください。
名前が決まった時点で着手するのが理想です。パッケージやロゴを作る前に、使えるかどうかを確認しておいてください。
急ぐ事情がある場合は、審査を早める制度が用意されていることもあります。条件は特許庁の案内で確認してください。
拒絶理由の通知を受けて対応する場合は、さらに期間が延びます。余裕を持ったスケジュールで進めてください。
通知が来ても、そこで終わりではありません。意見書や補正書で対応できる場合もあります。
取らない場合のリスク
費用を惜しんで登録しなかった結果、他社に同じ名称を先に登録され、使えなくなるという事態が起こり得ます。
名称を変えることになれば、パッケージもロゴも作り直しです。積み上げた評価も引き継げません。
最悪の場合、使用の差し止めを求められることもあります。費用を惜しんだ結果として失うものは、登録料をはるかに超えます。
大手のモールが提供するブランド登録の制度を使う場合も、登録商標が実質的な前提条件になります。
相乗り出品への対策としても機能します。自分の商品を守る手段として、費用に見合う価値があります。
価格競争から抜け出す考え方については、AmazonOEMは中国セラーが50%を占めている?日本人セラーが勝ち続けるための3つの戦略も参考になります。
まとめ|1区分なら5万円を下回る
商標登録の費用は、出願料が3,400円に区分の数へ8,600円を掛けた金額を足したもの、設定登録料が区分の数に32,900円を掛けたものです。1区分で手続きすれば、合計44,900円になります。
金額を左右するのは区分の数です。将来使うかもしれないという理由で増やさず、今の事業で実際に使う範囲に絞ってください。
まずはブランド名の候補を決めて、特許情報プラットフォームで既に登録されていないかを検索するところから始めてみてください。名前が使えると分かれば、次は区分の選定に進めます。
なお、料金や制度は改定されることがあります。手続きの前に特許庁の最新の案内を確認し、個別の判断については弁理士にご相談ください。長く続くブランドの作り方は、Amazon OEMで資産形成をめざす!初心者向けに”続く仕組み”を作る方法で解説しています。




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